「昔から人よりすぐ疲れる」「少し外出しただけで、翌日までぐったりしてしまう」
—そんな自分を「根性がない」「怠けている」と責めていませんか?
実は、「疲れやすさ」には、生まれつきの気質や体質だけでなく、身体の病気や心の不調など、さまざまな要因が関わります。
この記事では、疲れやすい原因を「生まれつきの要因」と「病気の可能性」の両面から整理しました。
原因がわかれば、対処法も見えてきます。まずは自分の状態をチェックしてみましょう。
なぜ「疲れやすさ」の理由を知ることが大切なのか
「私は昔からこういう体質だから」 ーそう思い込んで放置してしまうのは、少し危険かもしれません。
なぜなら、その疲れの裏に「治療で改善が期待できる病気」が隠れている可能性があるからです。
✅ 睡眠時無呼吸症候群
✅ 自律神経の乱れ
✅ 初期のうつ病
これらは適切な治療により、疲れが大きく改善するケースもあります。
まずは、「体質のせい」と決めつけず、可能性を広げて考えてみましょう。
「疲れやすさ」を感じる生まれつき要因(特性・体質)
生まれ持った気質や特性が、疲れやすさに関係していることがあります。
代表的な3つの要因を見ていきましょう。
①HSP(Highly Sensitive Person)
HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)は、「非常に敏感な人」という意味で、病気ではなく生まれ持った気質です。
人口の約5人に1人が当てはまると言われています。※HSPは医学的な診断名ではなく、心理学的な概念です。
【HSPセルフチェック】
□ 音や光、においなど刺激に敏感
□ 人混みや騒がしい場所にいると疲れる
□ 他人の機嫌や感情に左右されやすい
□ 映画や本で感情移入しすぎて疲れる
□ 短時間に多くのことを抱えるとパニックになる
□ 暴力的な映画・テレビ番組が苦手
□ 忙しい日が続くと、一人で静かに過ごす時間が必要
※参考: エレイン・アーロン博士「The Highly Sensitive Person」
HSP気質の人が疲れやすいのは、周囲の環境から受け取る情報量が多く、処理に多くのエネルギーを消費するからです。
こうした敏感さは長所にもなりますが、刺激の多い環境が続くとエネルギー切れを起こしやすくなります。
②発達障害(ADHD/ASD)などの特性
「人と同じようにできない」「なぜか自分だけ疲れる」という場合、「ADHD」や「ASD」などの発達特性が関係している可能性もあります。
不注意・多動性・衝動性
・過集中で電池が切れるまで動いてしまう
・ミスをしないよう常に緊張状態になる
・マルチタスクで脳が疲弊しやすい
対人関係の困難・こだわり・感覚過敏
・感覚過敏により刺激で消耗しやすい
・暗黙のルールを読み取る努力で疲れる
・予定変更や想定外の出来事に大きなストレス
読み書き、計算の困難
・苦手なことをカバーするための労力
発達障害の特性を持つ人が疲れやすいのは、定型発達の人が無意識に行っていることに、意識的にエネルギーを使ってしまうことが一因です。
「自分は努力が足りない」と思っていた方が、検査で特性がわかり、「だから疲れやすかったのか」と納得できた例もあります。
③自律神経の乱れやすい体質
自律神経は、呼吸・心拍・体温調節などを無意識に調整している神経です。
自律神経のバランスが崩れやすい体質の方は、疲れを感じやすくなります。
【自律神経の乱れをチェック】
□ 天気の変化や季節の変わり目に体調を崩しやすい
□ 寒暖差に弱く、すぐに疲れてしまう
□ 緊張すると、すぐに動悸や息苦しさが出る
□ イライラしやすい、不安になりやすい
□ 原因不明の体調不良が続く
自律神経は、体質的に乱れやすい方もいれば、ストレス・ホルモンバランスなどの外的要因が大きい方もいます。
体質の場合、完全に「治す」ことは難しいですが、生活習慣の見直しや適切なケアで症状が和らぐ可能性があります。
病気が隠れている可能性も(後天的な要因)
「生まれつきの体質」というより、あとからの病気や生活環境の変化が、疲れやすさの原因になっているケースも多くあります。
中には早急な治療が必要なものもあるため、チェックしてみましょう。
①身体的な病気・栄養状態
以下の疾患は、疲れやすさの主な原因になります。
| カテゴリ | 疾患 | 主な症状 |
|---|---|---|
| 栄養・代謝 | 鉄欠乏性貧血 | だるさ・息切れ・顔色不良・爪がもろい |
| 低栄養状態 | 体力低下・回復が遅い | |
| ホルモン | 甲状腺機能低下症 | 体重増加・冷え・脱毛 |
| 甲状腺機能亢進症 | 動悸・体重減少・暑がり | |
| 睡眠 | 睡眠時無呼吸症候群 | いびき・強い日中の眠気 |
| その他 | 慢性疲労症候群 | 通常以上の疲労が6ヶ月以上続く ※診断には他疾患の除外が必要 |
これらの病気は、内科での診察や血液検査 などで分かることが多いです。
「年齢のせい」「体質のせい」と決めつけず、一度検査を受けてみることで、改善の糸口が見つかる場合があります。
②生活習慣・環境
生活リズムや仕事・家庭環境も、「疲れやすさ」に直結します。
【生活習慣チェックリスト】
□ 睡眠時間が6時間未満のことが多い
□ 寝る直前までスマホを見ている
□ 朝食を抜くことが多い
□ 食事の時間が不規則
□ 野菜やタンパク質が不足しがち
□ 長時間労働が続いている
□ 家事・育児・介護の負担が大きい
参考: 厚生労働省「睡眠対策」「過重労働による健康障害を防ぐために」
「性格」ではなく、「状況と習慣」が疲れを作っていることも多いのです。
睡眠や食事などの生活習慣を見直すことで改善できる可能性があります。
③ストレス・軽度のうつ病など
強いストレスや長引くストレスは、心のエネルギー切れ を引き起こします。
【こんな症状が続いていませんか?】
□ 何をしても楽しいと感じない
□ 休んでも疲れが抜けない
□ 朝起きるのが特につらい
□ 集中力が落ちて、ミスが増えた
□ 将来の希望より不安のほうが大きい
□ 理由もなく「消えてしまいたい」と思うことがある
参考: 厚生労働省「こころの耳」、MSDマニュアル「抑うつ症群」
上記のような症状がほとんど毎日、2週間以上続き、生活に支障が出ている場合は、うつ病や適応障害などの可能性あります。
これは「心が弱いから」ではなく、体の病気と同じように、ケアや治療が必要な状態のサインと考えてください。
「体質だから」と決めつける前にできること
疲れやすさを感じる場合にできることを、まとめました。
「体質だから」と決めつける前に、できることから始めていきましょう。
①生活習慣を見直してみる
| 睡眠 |
|
| 食事 |
|
| 休憩・運動 |
|
小さな工夫でも、「疲れやすさ」が和らぐことがあります。
一度に全部を変える必要はありません。「できそうなものを1つだけ」 試してみることからで十分です。
②心の状態を振り返ってみる

疲れの原因がどこにあるのか、自分で一度じっくり振り返ってみることも大切です。
・無理をしている人間関係はないか?
・「やらなければ」と抱え込んでいる役割は何か?
このような問いを紙やスマホのメモに書き出してみると(ジャーナリング)、自分でも気づいていなかった負担が見えてくることがあります。
もし思い当たることがあれば、できる範囲でストレス源から離れたり、環境を変えたりする工夫をしてみましょう。
③クリニックを受診してみる(内科や精神科)
【受診フローチャート】
Q1. 発熱や激しい痛みなど、身体の症状はありますか?
👉 NO:次へ
Q2. 最近の健康診断で異常はありましたか?
👉 NO:次へ
Q3. 気分の落ち込み・不安・眠れないなどの悩みはありますか?
👉 NO:次へ
Q4. 子どもの頃から集団行動が苦手・不注意が多いなどの悩みはありましたか?
👉 NO:心療内科 or 内科(自律神経・更年期など)
生活習慣を見直しても疲れが改善しない場合は、クリニックの受診も考えましょう。
基本的には「内科→精神科や心療内科」の流れがおすすめです。
検査で大きな異常が見つからなかった場合や、「ストレスや気分の落ち込みも気になる」または「先天的な要因(HSP的な敏感さ・発達特性)が疑われる」場合は、心療内科・精神科での相談が選択肢となります。
※「明らかに気分の落ち込みが強い」「死にたい気持ちがある」場合は、最初から精神科・心療内科を受診して大丈夫です。心療内科によっては、血液検査で貧血や甲状腺のチェックもしてもらえます。
精神科・心療内科でできること
「精神科は心の病気の人しか行ってはいけない」と思われがちですが、実際は「疲れの原因を一緒に整理する場所」でもあります。
内科で改善しない疲れがある人は、一度相談してみましょう。
①心の状態を医師に評価してもらえる

精神科・心療内科では、問診を通じて、ストレス状態やうつ傾向、発達特性の有無などを、医師に評価してもらえます。
「自分の疲れやすさは異常なのか?」「病気なのか、生まれつきなのか?」を専門家の視点で客観的に評価してもらうことは、改善のための第一歩です。
- いつから、どのように疲れやすくなったのか
- 仕事・家庭・人間関係の状況
- 睡眠や食欲、気分の変化
などを整理しながら、「どうすれば今より楽になれるか」 を医師と一緒に考えることができます。
②必要に応じて薬物療法や心理療法を受けられる
| 薬物療法 |
|
| 心理療法 |
|
「疲れやすさ」の原因が、心因性または生まれつきの特性の場合、適切な治療を受けることで改善の可能性があります。
たとえば、強い不安や気分の落ち込みがある場合、抗不安薬や抗うつ薬などで症状を和らげることができます。
また、「考え方のクセ」や「行動パターン」がつらさを長引かせている場合、「認知行動療法」で物事の受け止め方や行動パターンを見直すことも可能です。
発達障害の特性がある場合は、それぞれに合った休み方や働き方を一緒に考えてもらうこともできます。
③診断書をもらって仕事の調整ができる
- 休職・休学の申請
- 業務量の調整(配置転換など)
- 残業免除などの配慮を求める
もし仕事や学業が原因で限界を迎えているなら、診断書を提出して休職や休学、業務量の調整をすることも可能です。
医師という「第三者の判断」があることで、職場や学校への相談がスムーズになります。
また、適応障害やうつ病の診断がある場合、休職中の経済的サポートが受けられる「傷病手当金」を申請できる可能性もあります。
まとめ
✔ HSPや発達特性を持つ人は疲れやすい傾向
✔ 貧血、甲状腺異常などの病気が原因のことも
✔ まず内科→異常がなければ精神科
✔ 「体質だから」とあきらめる前に専門家に相談を
「疲れやすい」のは、生まれつきの体質や性格だけが理由ではありません。
HSP的な敏感さや発達特性、自律神経の乱れ、身体の病気、生活習慣、そして心の疲れ—さまざまな要素が重なって、今の「しんどさ」が生まれている可能性があります。
大切なのは、それぞれの原因に合った対策を実践することです。
「体質だから仕方ない」とあきらめず、まずは自分の状態をチェックしてみましょう。
生活習慣の改善や内科の検査で解決しない場合は、心療内科や精神科への相談も検討してみてください。
医師と一緒に、疲労の本当の原因を整理し、あなたに合った疲れの取り方や生き方を探しましょう。